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売却前の建物・登記確認

登記されていない建物がある? 売却前に未登記部分を確認する順番

固定資産税の課税明細に建物があるのに登記事項証明書が見つからない、現地の離れや車庫が登記に載っていない、登記床面積と現況が違う。このようなときは、すぐに「未登記だから売れない」「課税されているから登記済み」と決めません。土地・建物の登記、課税資料、建築資料、現況を建物ごとに並べ、土地家屋調査士へ確認するのが先です。

「未登記建物」は、建物の登記記録自体がない状態を指すことが多く、「未登記部分」は増築など現況の一部が登記の表題部へ反映されていない状態を含みます。権利部の所有権登記がないこと、所有者の相続登記が未了であること、住所変更登記が未了であることは別の論点です。相談先も異なるため、同じ「登記されていない」でまとめないことが重要です。

母屋と離れと車庫を資料と照合して未登記の可能性を確認する所有者
敷地全体を一括りにせず、建物ごとに登記・課税・現況を照合します。

モデルケース

物置を『小さいから関係ない』と考えたLさん

Lさんの実家には、父が二十年以上前に増築した六畳間と、庭の古い物置がありました。固定資産税の明細に家屋の記載があるため、Lさんはどちらも手続済みだと思い、不動産会社へ『登記も問題ありません』と伝えていました。売却後は買主が住宅ローンを使う予定でした。

査定資料をそろえる段階で、登記事項に記載された床面積と現地の見た目が合わないと指摘されました。課税資料の家屋番号らしい記載と登記の家屋番号も一致するのか分からず、物置は図面にも見当たりません。Lさんは税の資料に載ることと、登記の状態が同じとは限らないと初めて知りました。

母屋、増築部、物置を別々に撮影し、建築時期を家族へ聞き取りました。登記事項、課税明細、建築確認に関する古い書類を一棟ずつ対応させ、分からない部分には推測を書かず、土地家屋調査士と不動産会社へ相談しました。買主へ説明する前に、何を確認中で、どの手続が必要になり得るかを整理しました。

売出しは少し遅れましたが、契約直前に建物の不一致が発覚し、融資や引渡し日を一から調整する事態は避けられました。必要な対応は物件ごとに異なるため、Lさんは『未登記だからこの手続で終わる』と決めつけず、確認結果を待って条件を作りました。早い段階で不一致を見つけたことが、後の大きな手戻りを減らしました。

判断の分かれ目

売買契約や買主の融資確認が進んでから建物の不一致が分かると、調査、登記、価格条件の見直しで日程が止まる可能性がありました。

確認して選んだこと

母屋、増築部、物置を別々に撮影し、登記、課税、建築資料を一棟ずつ照合して、土地家屋調査士と不動産会社へ相談しました。

結果と損得

売出し前に未確認部分を説明でき、契約直前の発覚による延期や書類の取り直しを避けられました。

判断整理票

この記事の結論

売却前に、土地と全建物の登記事項証明書、固定資産税課税明細、建築資料、現況を照合し、不一致を建物別に記録します。表題登記・表題部変更登記等の要否と資料は土地家屋調査士へ、所有権・相続・抵当権等は司法書士へ相談します。

まずやること

母屋、離れ、物置、車庫を一覧にし、登記・課税・現況の有無を三列で確認します。

今はまだしないこと

建物を自己判断で壊したり、面積を推測して契約書へ記載したりしません。

登記・課税・建築確認は同じ台帳ではない

資料分かること分からないこと・注意
登記事項証明書建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積、所有権等の登記未登記建物は建物の記録自体を取得できない。現況一致は別途確認
固定資産税課税明細・名寄帳自治体が課税対象として把握する家屋の情報登記済みであることや、表示が登記と一致することを保証しない
建築確認・検査資料申請された建築計画や検査の記録古い建物では資料がない、保存期間を過ぎた、現況と異なる場合がある
現地調査現在の用途、構造、増築、取壊し、位置関係目視だけで登記要否、所有者、面積を確定できない

固定資産税が課されていても、登記所の建物登記があるとは限りません。反対に、登記上残っている建物が現地では取り壊されていることもあります。納税通知書の「所在地番」と登記の「所在」、住居表示、地番、家屋番号は同じ番号とは限りません。似た番号だけで同一建物と判断せず、資料を並べて専門家へ見せます。

建物ごとの照合表を作る

確認欄記録例資料
呼び名母屋、東側離れ、北側物置、車庫家族の呼称と現況写真
登記記録あり・候補あり・見つからない・未取得建物登記事項証明書、閉鎖登記簿等
課税課税明細にあり・なし・該当不明課税明細、名寄帳、家屋補充課税台帳の案内
現況用途、階数、構造、増築らしい部分、取壊し済み四方向写真、室内写真、配置メモ
建築資料確認済証、検査済証、図面、工事契約の有無保管書類、自治体への照会結果
所有・相続建てた人、費用負担、相続関係、共有の可能性戸籍、遺産分割資料、領収書、聞取りメモ

現況写真には撮影日と撮影位置を付けますが、隣地へ立ち入らず、公道や自分の敷地から安全に撮ります。屋根、床下、高所、腐朽した物置へ無理に入らないでください。危険がある場合は建築士や調査業者へ先に相談します。

建物の登記資料、課税資料、現況写真を三列で照合する机上
三つの資料は役割が違うため、不一致を建物別に残します。

売却相談までの確認手順

  1. 土地と建物の登記を取る。 土地だけで終えず、固定資産税課税明細に載る建物、現地にある建物を候補として調べます。
  2. 現況一覧を作る。 一棟ごとに用途、位置、階数、増築・取壊しの記憶、写真を整理します。
  3. 建築・課税資料を集める。 建築確認、図面、工事契約、課税明細、名寄帳など、ある物とない物を分けます。
  4. 土地家屋調査士へ相談する。 建物の物理的状況に関する登記の要否、調査範囲、所有権証明資料、日程を確認します。
  5. 司法書士と不動産会社へ共有する。 所有権・相続・担保の登記と、売買契約・決済日程への影響を確認します。
  6. 自治体へ必要な届出を確認する。 課税台帳、建築資料、解体予定がある場合の届出を担当窓口へ照会します。

不動産の表示に関する登記は、原則として物理的状況が変わった日から1か月以内の申請義務が課されるものがあると法務局は案内しています。ただし、どの登記を誰が申請するか、過去の増築や相続をどう整理するかは個別事情で異なります。期限超過だけを理由に自己判断で申請書を作らず、資料不足も含めて相談します。

表題登記と権利の登記で相談先が違う

相談先主な確認持参資料
土地家屋調査士建物表題登記、表題部変更・滅失など、調査測量を伴う表示の登記登記、課税、図面、工事・所有資料、現況写真
司法書士所有権保存・移転、相続、住所氏名、抵当権等の権利登記相続関係、本人確認、登記資料、調査士の確認結果
法務局証明書取得、管轄、申請手続の一般案内所在、地番、家屋番号候補、質問メモ
市区町村課税家屋資料、建築資料、解体・家屋異動の届出案内納税通知、本人確認、物件位置、委任関係
不動産会社・金融機関売却条件、融資利用、契約・決済への影響専門家の調査結果、希望時期、建物一覧

早めに相談したい例外と注意

  • 建てた人と土地所有者が異なる、誰が費用を負担したか分からない。
  • 相続人が複数で、未登記建物を遺産分割で扱ったか不明。
  • 増築部分が境界、接道、建ぺい率・容積率、防火、用途に関係しそう。
  • 未登記建物を担保に含めるか、買主が融資を利用する予定。
  • 老朽建物を先に解体したいが、所有者、届出、税務、特例への影響が未確認。
  • 課税資料にも登記にもない建物、または現地にない登記建物がある。

登記を整えれば建築基準法上の適合や安全性が確認されたことになるわけではありません。逆に、確認済証や課税記録があっても登記済みとは限りません。売買契約では、現況、登記、契約上の対象、引渡し条件を不動産会社と専門家が一致させられるよう、未確認事項を隠さず共有します。

相談記録には「結論」より根拠資料を残す

家族から「昔、離れを増築した」「税務課の人が見に来た」と聞いた場合は、聞いた日、話した人、当時の用途、施工者、費用負担をメモします。ただし、記憶だけで建築年や所有者を確定しません。土地家屋調査士へ渡した資料、追加で求められた資料、現地調査日、登記申請の候補、売却日程への影響を時系列に残してください。

買主や金融機関へ伝えるときは、「未登記建物あり」とだけ書かず、どの建物について、何の資料があり、何が未確認で、誰へ照会中かを分けます。調査や登記が契約後になる場合は、完了期限、費用負担、完了しない場合の扱いを不動産会社と法律専門家へ確認し、口頭合意だけにしないことが大切です。

未登記建物について土地家屋調査士、司法書士、不動産会社へ相談する資料
建物の現況、権利、売却条件は役割を分けて確認します。

行動の順番

読んだあとに進める3ステップ

  1. 全建物を一覧にする

    母屋、離れ、物置、車庫を建物ごとに書き出します。

  2. 三資料を照合する

    登記、課税、現況写真を並べ、不一致と未取得を記録します。

  3. 相談先を分ける

    表示は土地家屋調査士、権利は司法書士、売却条件は不動産会社へ共有します。

公式参考情報