親の家・空き家どうするナビ

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相続実家の賃貸準備

相続した空き家を賃貸に出す前に確認したい修繕・契約・管理

相続した家の室内で修繕箇所と賃貸資料を確認する家族
先に家の状態とかかるお金を調べます。貸す条件、契約、管理は分けて考えます。

相続した実家に住む予定はないけれど、すぐには売らず、人に貸せないか考えている方向けの記事です。家を貸すには、片付けや写真だけでは足りません。家が安全か、どこを直すか、どんな条件で貸すかを確認します。契約、入居後の管理、かかるお金も順番に考えます。

近くに同じような貸し家があっても、同じ家賃で借りる人が見つかるとは限りません。直すお金や管理のお金も、家ごとに違います。不動産会社や建物の専門家に、今の家を見てもらいましょう。貸せると決めつけず、売る場合や、しばらく管理する場合とも比べます。

最初に確認

この記事の結論

家を貸す前に、誰が家を持っているかと、家が安全かを確認します。直す場所、貸す条件、契約、管理を、複数の相談先で比べましょう。家賃だけでなく、一年で残るお金と家族の手間を、売る場合とも比べます。

まずやること

家の持ち主が分かる資料を集めます。家、設備、家財、庭の写真とメモも残します。

今はまだしないこと

家賃だけを見て、直す工事や、家を貸す・管理を頼む契約を決めません。

貸す前に6つを分けて確認する

項目確認すること相談先の例
家の状態雨もり、家の造り、設備、安全の決まり建築士、工事会社、不動産会社
直す場所貸す前に直す場所、時期、見積もり工事会社、管理会社
貸す条件家賃、貸す期間、借りる人の条件、探し方賃貸を扱う不動産会社
契約契約の種類、費用、修理、退去時に戻す範囲不動産会社、必要に応じて専門家
管理家賃の回収、点検、苦情、故障、退去への対応管理会社
お金最初のお金、毎月のお金、空室の間、税金不動産会社、税理士

毎月の家賃が、そのまま手元に残るわけではありません。修理、不動産会社や管理会社への支払い、保険、税金、点検、庭の手入れ、設備の交換にもお金がかかります。遠くから通う交通費もあります。借りる人がいない期間や、急な修理も入れて考えましょう。

まず、家の安全と持ち主を確認する

  • 相続登記(登記の名義を相続した人へ変える手続き)や、一緒に家を持つ人を確認する。
  • 雨もり、傾き、ひび、木のくさり、シロアリなど、気になる場所を記録する。
  • 電気、水道、ガス、お湯、排水、換気、火災警報器の状態を確認する。
  • 増築や改築の記録、家の使われ方、道路とのつながり、建物の決まりが分かる資料を集める。
  • 家財、庭、物置、駐車場のうち、どこまで貸し、何を残すか決める。

自分で見ただけで、「このまま貸せる」と決めないようにします。専門家に家を見てもらい、直す場所と順番を確認してください。工事は、「貸す前に必要」「貸した後でもよい」「今はしない」に分けます。理由と費用も残しましょう。

人を探す前から、管理までの順番

順番聞くこともらう物
1. 家を見る貸す前に、どこを直しますか点検の結果、直す案、見積もり
2. 貸す条件を決めるなぜ、この家賃と期間ですか近くの例、人の探し方、条件
3. 契約を読む誰が、何のお金と修理を負担しますか契約書の案、特別な約束、説明書
4. 管理する人を決める故障や近所からの連絡に誰が対応しますか管理する範囲、連絡方法、追加料金
5. お金を比べる空室や退去のときも含めると、いくら残りますか最初、毎月、毎年、急なときにかかるお金

契約書と、管理会社がすることを確認する

賃貸借契約は、家を貸し借りする契約です。貸す期間、契約を続ける・やめる条件、家賃、修理、してはいけないことを確認します。原状回復とは、退去するときに部屋をどこまで元の状態へ戻すかという決まりです。国土交通省は契約書の見本などを公開しています。ただし、実際の約束は契約ごとに違います。分からない所は説明を受け、内容を理解してから署名してください。

建物確認、修繕、募集、契約、管理、収支を分けた賃貸準備資料
画像は検討項目の整理例で、入居、賃料、収益、契約成立を保証するものではありません。

管理会社へ頼む場合は、基本料金に何が入るかを表にします。借りる人探し、契約、家賃の回収、支払いが遅れたとき、故障、見回り、庭、苦情、契約の更新、退去が対象です。追加料金になる仕事も聞きましょう。家が遠い場合は、緊急の連絡先と、管理会社が修理を頼める範囲も確認します。

サブリースは、しくみと注意点を確認する

サブリースは、会社が持ち主から家を借り、その会社が別の人へ貸すしくみです。「管理を任せられる」という説明だけで決めないようにします。家賃が変わる条件、持ち主へ家賃が支払われない期間、契約の期間、やめる条件を確認します。退去時や大きな修理で、誰がお金を出すかも聞きます。将来も同じ金額を受け取れるとは限りません。大切な説明と契約書を見比べてください。

モデルケース

「家賃8万円」の先にある支出を、Sさんが見つめ直すまで

Sさん(49歳)は、駅から徒歩18分の実家を相続し、家賃収入を得られるなら貸したいと考えていました。「家賃8万円なら年間96万円になる」と期待したものの、築38年の給湯器と浴室には傷みがあります。修理代をかけたあとも管理費や空室が続くのではないかと思うと、貸す決心がつきませんでした。

見積書と賃料査定を、同じ机に並べた

Sさんは不動産会社2社とリフォーム会社へ同じ資料を見せ、必要な所だけ直す案、全面的に直す案、今の状態で売る案を一枚にまとめました。そこで、家賃だけではなく、入居を毎年10か月とする収入、管理料、保険、固定資産税、修理予備費まで見なければならないと分かりました。賃貸の2案は10年間の収支で見通しを立て、期間と費用の基準が異なる売却は、数字だけで順位を付けないことにしました。

修繕見積書と賃料査定と年間収支表を並べて比較するモデルケースのイメージ

Sさんが並べた3つの選択肢

モデルケースで置いた初期費用、賃料、年間費用、税引前の比較額の比較
選択肢 初期費用・査定額 年間収支・比較額 期間・注意
必要な所だけ直して貸すSさんのモデルで選択 初期費用230万円、家賃8万円 × 10か月 = 年間家賃80万円 年間費用26万円、年間の税引前収支54万円 初期費用の回収目安は約4年3か月
全面的に直して貸す 初期費用600万円、家賃9万5,000円 × 10か月 = 年間家賃95万円 年間費用29万円、年間の税引前収支66万円 初期費用の回収目安は約9年1か月
今の状態で売る 査定1,050万円、準備25万円 1,050万円で成約した場合、表に記載した費用だけを差し引いた税引前の比較額1,025万円 賃貸10年とは期間と費用の基準が異なる

必要な所だけ直して貸すと決めた結果

Sさんは、必要な安全工事と設備交換に230万円をかけて貸す道を選びました。家賃は8万円、入居は年10か月となり、年間家賃80万円から年間費用26万円を差し引いた税引前収支は54万円になりました。初期費用の回収目安は230万円 ÷ 54万円で約4年3か月。10年間では、家賃800万円 − 年間費用260万円 − 初期費用230万円 = 表に記載した費用だけを差し引いた税引前の比較額310万円となります。毎月の家賃だけを見ていたときより、貸し続けるために追う数字がはっきりしました。

全面改修と売却を選ばなかった理由

全面的に直し、毎年10か月入居した場合は、10年間の家賃950万円から年間費用290万円を差し引いた額が660万円です。さらに初期費用600万円を差し引いた税引前の比較額は60万円で、必要な所だけ直す案の310万円より少ない試算でした。一方、売却なら管理を終えられる可能性がありますが、成約時期や売却費用の基準が賃貸10年のキャッシュフローと異なります。Sさんは、金額だけでなく、管理を続けられるかも含めて決めました。

サブリース契約を含む場合の注意

将来の賃料減額、事業者側からの契約解除、所有者から契約を終える場合の制限、修繕費と原状回復費の負担を、実際の契約書と重要な説明で確認する必要があります。管理を任せることと、同じ賃料や入居が続くことは別です。

Sさんが毎年見直すこと

家の安全と修繕見積もりを確かめ、家賃、入居月数、管理料、保険、固定資産税、修理予備費を入れた年間収支を更新します。売却査定も同時に取り、期間、費用、家族の手間、契約を終えられる条件を分けて見ることで、「貸し続ける」ことを一度きりの決断にしないようにしました。

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忘れやすいこと

  • 家賃だけを見て、最初の修理、空室、退去、設備の交換をお金の計算に入れていない。
  • 残す家財、庭や物置の使い方、駐車場の条件が決まっていない。
  • 更新方法が違う「普通借家」と「定期借家」の説明を受けていない。
  • 管理の基本料金に入る仕事と、追加料金になる仕事を分けていない。
  • 将来、家族が住む可能性と、契約を終えられる時期を比べていない。

次は、専門家に家を見てもらいます。同じ資料を使い、賃貸を扱う不動産会社を複数比べましょう。売る場合の査定も取り、かかる時間、家族の手間、将来の修理、契約の決まりを比べます。登記、税金、建物、契約で分からないことは、司法書士、税理士、建築士、自治体などへ確認してください。

行動の順番

読んだあとに進める3ステップ

  1. 持ち主と家の安全を確認する

    登記の資料を集めます。家、設備、家財、貸す場所の状態もまとめます。

  2. 複数の会社へ聞く

    同じ資料を見せ、直す場所、貸す条件、契約、管理を聞きます。売る場合の査定も取ります。

  3. 一年のお金と手間を比べる

    空室、修理、管理を入れて計算します。売る場合と並べ、家族で共有します。

参考情報

建物の安全性、修繕、募集条件、契約、管理、税務は個別事情で異なります。不動産会社、建築士、税理士、司法書士、自治体等へご確認ください。

貸す準備の前に、ほかの方法も整理する

10問に答えると、売る、買い取ってもらう、こわす、使うなど、次に調べたいことが分かります。

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